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 ベランダ栽培中のイチゴだが今のところ5粒ほど収穫出来ている。ただし最近出来る実が小さくなってきた。土が痩せていることが原因だろう。100均で肥料を買い今ある土に混ぜた。目には見えないが植物はこうやって土から栄養を摂取しているんだなということを実感した。


 6月になり暑い日が増えてきた。既に蚊も飛んでいる。川近くのアパートに以前住んだことがあるがそこは虫の多い場所だった。アパートの壁にはヤモリだかイモリだかが時間も気にせずうろついていたし朝から蝉が鳴きだしゆっくり眠ることは無理だった。寿町も川に近いので夏場は虫が多いだろう。川で繁殖する虫が町に遊びに来るのだ。
 寿町交番近くの狭い路地は蚊のような黒く小さい虫が既に沢山飛んでいる。その路地裏には飲食店やスナックが並んでおり建物に陽が遮られているため日中も薄暗い。陽が当たらないので比較的涼しく餌もあるそのような場所で生活するのは快適だろう。
 虫が湧いてからこの道を通ることは止した。ここの虫は遠慮無く顔にぶつかってくる。捕まえて殺してやろうと思うと容易につかめないのに意識せずに歩いていると顔にぶつかってくるのでまともな虫じゃ無い。


 蚊で思い出すのが昔天王山に登ったときのこと。その頃働いていた職場に登山が趣味の人がいた。登山の良さを色々と職場で話すのでそんなに良いなら僕もちょっとやってみようと思った。
 天王山は京都の大山崎町にある。豊臣秀吉と明智光秀が戦をした有名な山で勝負を決するという意味の天王山の語源にもなっている有名な山だ。天王山のある大山崎町もサントリーのウイスキーの名前になっていて知名度がある。ちょうど京都と大阪の県境になっていてサントリーの工場は大阪側にある。
 天王山はそれほど高い山ではないので登山用の装備など何も持っていない初心者でも簡単に登れる。その頃は夏だったので僕は半袖と普通のズボンで登った。
 山登りの最中ほとんど人と会うことはなかった。結構前の記憶だが山中では恐らく5人ほどしか会っていないと思う。頂上には僕以外の人はいなかった。関東に来てから高尾山にも登ったことがあるが高尾山には人が大勢いた。外国人の姿もあった。大きい違いである。ただし天王山では一匹の蚊がずっと僕の後をついてきた。山中をうろつく獲物が少なく文字通り血に飢えているのだろう。執拗に後をついてくる。本来楽しい山登りの間ずっとそいつが周囲をうろついていてとうとう楽しむ気になれなかった。早く登って早く降りようと思っていた。
 後日知り合いに山の蚊はしつこいと言ったら蚊が多いだけで最初から最後まで同じ蚊じゃないでしょと笑われたが僕はずっと同じ蚊だったと思っている。夏の暑い日に木々で陽を遮られた涼しい山中を美味そうな飯が歩いている。暑い中町中を飛び回らなくてもこいつに付いていけば腹が満たせると考えたに違いない。少し血を吸い僕の周囲を飛び回ってまた腹が減ったら血を吸う。そいつからしたら良い一日だったと思う。もうとっくに死んでいるんだろうがこの手で握りつぶしてやれなかったことを後悔している。
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 で握ると言えば寿司だ。半額だったので買った。中トロなんて久しく食べていない。サントリーのウイスキーが手元にあれば10年くらい前の登山を思い出しながら一杯するのも乙なものだと思うが残念ながら手元に無い。買いに行くのも面倒だ。