脳が疲れるほどの衝撃を受けた本というのは泉鏡花氏の小説「外科室」のことだ。
 非常に評価の高い作家であり文章力も絶賛されている方なのでぜひ読んでみようと思った。昔の文豪が書いた文章を論ずる際には森鴎外さんや志賀直哉さん谷崎潤一郎さんらとともに必ず名前の出てくる高名な作家だ。文章の書き方を勉強しようと思い図書館で読んだ本にも泉鏡花さんの文章について書いてあったので気になっていた。
 早速「高野聖」と「外科室」という二つのタイトルをキンドルでダウンロードした。著作権の切れている作家なのでどちらも無料の作品だ。「高野聖」は何となく聞いたことがあったのでこちらが泉鏡花さんの代表作だろうと思いまずは「外科室」を読むことにした。
 文語体というのだろうか。昔使われていた文章で書いてあるので現代人の僕には馴染みが無く読みづらい。現在主に使われている文章は言文一致体というようで明治以降の文章はおおむね言文一致体で書かれている。

 現代人が古文を翻訳無しで読むことに例えるのは少し大げさかも知れないがそれに通ずる部分がある。文章が難解である。一度読むだけでは内容が理解できない。繰り返し読む。頭は理解しようと必死に働いている。文章だけではなく漢字も見慣れないものがあるので調べながら読む。それを繰り返しているうちに頭が疲労して何も考えられない状態になった。

 【あるやんごとなきあたりより特に下したまえるもありぞと思わる】と言われても何を思っているのかはっきりとしない。
 読み応えのある小説を探している人には是非お勧めしたい。どちらも短編なので読める人にはさらっと読めるはずだ。「高野聖」はまだ読んでいないが今少しページを読んでみると「外科室」よりは読みやすいように思えた。

 追記。ウィキペディアで泉鏡花さんのエピソードを少し調べた。文章というものをとても大切な物と捉えておられたようで割り箸の箸袋にお箸と書かれているような物でさえも粗末に扱うことなく大切に保管していたらしい。頭が下がる思いだ。