思い立ってすぐに寿町に帰ってきたから荒川の野宿地の整理を一切していない。生活に必要な物を全て持って帰れたわけでもない。今の僕は爪切りさえも持っていない。早いうちに取りに行く必要がある。可能であれば座椅子と机も自転車に積んで寿町に運びたい。

仕事終わりに早速野宿地に行って来た。野宿地の整理に当たって重要になるのがどこまで片付けるのかという点だ。ドヤでの生活に必要な物だけを持ち帰りまた野宿地に戻った際にはすぐに生活が出来る機能を残しておくのかそれとも野宿生活を見限りテントも全て撤去して僕が来る前の野宿地に戻すのか。考えたが野宿機能を残す必要は無いと思った。寿町から野宿地まで自転車で片道3時間だ。電車を利用しても片道1時間半かかる。もう荒川の河川敷で野宿をすることは無いだろう。テントも不要なのだけれど自転車に載せて帰るのは難しい。まずは野宿地に行きどのくらいの荷物を自転車で運べるのかを知る必要がある。
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東京タワーが見えた。電力が逼迫しているという話を聞くが点灯中だ。
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銀座を通る。時刻は21時前だ。人が多い。皆なんだか上等な顔をしている。香水は詳しくないが漂う香水の香りも高級な物なのだろう。ママチャリに乗って疾走するのが少し恥ずかしい。
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スカイツリーも電気が点いている。
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ついでに言えば桜木町の観覧車も元気に点灯中だ。
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僕が暮らしているドヤにはこのような貼り紙がされていた。

23時に野宿地に到着した。寿町に帰った時にも感じる気持ちだがこちらの野宿地に帰った時も家に帰り着いた時のほっとした気持ちが起こった。一時的ではあるが僕の住居だった場所だ。

この時間の帰宅を選んだ理由はこれから自転車に荷物を積んで寿町まで帰る道中に人が少なくなる時間だからだ。大量の荷物を運んでいる場面をあまりじろじろと人に見られたくないし通行人が少ないので道も空いているだろう。安全面を考えると出来るだけ車道ではなく歩道を走行したい。ただし不審者として相当目立つため警察官に会えば職務質問は必ずされるだろう。

野宿生活を辞めてまだ1週間経っていないので当然だが野宿地は僕が住んでいた頃と全く変わっていない。僕以外の人が侵入した形跡も無かった。

必要な荷物を全て持ち出した。持って帰った所で今後使うことも無いだろう飯ごうや寝袋なども持ち出した。購入費用が少し高かったから処分するのは勿体ない。(100均で買った物なのでどちらも1000円程度だが)
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少し走ってから近所の公園で撮影した写真だ。これだけの荷物がある。一応公園の明るい場所で撮影して写真の明度も上げているのだがそれでも暗い。見えにくいが自転車の奥のベンチにも荷物が並んでいる。

テントを離れる際にちゃんと鍵を閉めたかもう1度確認しに戻る程度には我が家だった。たった2ヶ月の間ではあったが僕に毎日寝る場所を提供してくれた。頼りの無い壁と天井ではあったがテントは風雨を凌いでくれた。持ち出す荷物の中にテントを加えることは出来なかったためテントの入り口部分の雨に濡れない場所に僕の名前と電話番号を書いたメモを残した。行政の方やテントに何か問題があったときには電話がかかってくるだろう。とは言えいつまでも野宿地に物を置いたままという訳にもいかないから近いうちに何とかしなくてはならない。

野宿地を離れると少し寂しさも感じる。これでもう今後一生行くことの無い場所もあるのだと考えれば胸が締め付けられる。でも生まれてから1度も行くことの無い場所の方が遙かに多いのだと思えばそれもどうでもよくなる。

寿町へ帰る道で自転車に乗った警察官やパトロール中のパトカーと擦れ違ったが不思議なことに職務質問は全くされなかった。職務質問をする理由としては自転車が窃盗品では無いかの確認程度になるかと思うがここまで大胆に盗難自転車を使う人間も居ないだろうという理由で見逃されているような気がする。

自転車に荷物を満載しての寿町までの道のりは大変だった。上り坂は毎回自転車を降りて歩いて押した。立ちこぎをすると前カゴに載せた荷物の重みで簡単にハンドルが左右に振り切れる。常に自転車を真っ直ぐに向けて走行しないと簡単に倒れてしまう。歩道と車道を繋ぐ小さな段差も相当速度を落として通過しないと怖い。

寿町に到着したのは間もなく5時になろうかという時刻だった。初夏の空は既に明るい。荒川の野宿地を出たのが0時頃なので5時間程度を要した。自転車のサドルに100均で購入したクッション性のあるサドルカバーを装着しているがそれでもお尻が痛い。明日は仕事は無理だ。
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これで必要な物は大半持ち帰った。野宿地に設置しようと奮闘していた洗濯紐もドヤ内に吊るした。あとはほとんど空のテントが残るのみだ。そういえばネット倉庫にも荷物を預けている。カーテンを預けたままなのでそちらにも連絡をしないといけない。
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ドヤの駐輪場が空いていないため自転車は寿町の町中にある駐輪場に停めている。寿町では自転車を停める場所には困らない。
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横浜に帰ってきて家系ラーメンを久しぶりに食べた。都内にも家系ラーメンのお店はいくつもあるが僕が暮らしていたエリアにはお店が無かった。