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今日の昼前に旅先から戻ってきた。本当は昨日の夜には寿町に帰れていた予定だったが帰路で体調を崩し浜松のネットカフェで1泊してからの帰宅となった。

旅の目的の半分ほどは達成していない。西成と城崎温泉には行ったが岡山と天理市には行けなかった。コメントで岡山の郷土料理をお勧めして頂いていたのに申し訳ない。家族と過ごす時間を優先する形となった。

帰省中は寿司と肉とお酒を大量に飲み食いした。帰る日の朝までは体調が良かった。昼に神奈川方面へ向かう電車に乗った。違和感はすぐに感じた。何か体の調子がおかしい。名古屋辺りにさしかかる頃には電車に乗っているのが辛いほどの吐き気と頭痛と腹痛が始まった。停車した駅のトイレに駆け足で向かった。痙攣したように胃が震えている。便器が見えた時には限界だった。個室の鍵を掛ける前に膝を折って便器にしがみつき胃の内容物を全て吐き出した。肉類は消化が遅いと見える。昨夜食べた肉の細切れがいくつも便器の中にあった。ここ数日暴飲暴食をしたから胃が荒れていたのだろう。昨夜の酒も少し残っていたかもしれない。そこに電車の揺れが加わり体調が急激に悪化したのだろうと想像している。

嘔吐する時に何かが引っかかったのか喉が少し熱い。トイレの鏡に顔を映してみると血の気が失せている。胃の中の物は全て外に出したはずだがまだまだいつもの調子ではない。むしろ頭痛は酷くなっている。何度も口をゆすいだ。

その後30分ほど駅のベンチに座り死んだように休んでいた。トイレの形やホームの様子は覚えているが肝心の駅名を覚えていない。丸っきり見もしなかったのだろう。また東海道に名前の分からない駅が1つ増えた。

電車に乗れるまで体調は回復したが寿町まで今日のうちに帰るのは不可能かもしれない。どこか栄えた街があればそこで寝る場所を確保して休む事も考え出した。電車の中では頭痛が酷くてずっと目を閉じていた。半分寝て半分起きているような状況だった。この時の車内の樣子も窓の外の景色も何も憶えていない。

人が大勢降りる気配があったので駅名を確認すると浜松だった。時刻は間もなく17時になろうとしている。寿町までは残り4時間ほど電車に揺られる必要がある。今の体力では不可能だ。浜松で下車して今日の宿を探すことにした。宿を探す前に駅のトイレでもう1度吐いた。胃液の混じった濁った水が出たが固形物は何も無かった。

幸いにも駅前にネットカフェがあった。早速入って寝転べる部屋を手に入れた。鍵付きの個室は無いのが不満ではあるが他の店を探す気力が無い。飲み物は無料で自由に飲めるためアクエリアスを飲んだ。炭酸や珈琲は今は飲む気がしない。腹の中には何も入っていないが今食事をしても吐き出すために食べるようなものだ。部屋で横になってすぐに眠った。

21時に目を覚ました。熱がある。風邪を疑ったが熱があったのはその後5時間程度なので弱った体の中に細菌が入り熱を出して体が戦っていたのだと思う。薬局で風邪薬を探したい気持ちがあったが外に出る気にはなれなかった。部屋に持ち込んだアクエリアスが無くなったのでもう1度取りに行く。ソフトクリームも無料で貰えるので食べられるか分からないが一応部屋まで持ち帰る。ソフトクリームとは言うもののコップによそう形で提供されている。冷たくて美味しいが全部食べる気にはなれない。

ソフトクリームを固形物と言うのが正しいのか分からないが飲料以外の物を飲み込んでも胃は平気だった。そこで何かきちんとした物を食べる気になった。部屋に備え付けのパソコンから料理を注文出来る仕組みとなっている。つけ麺やチャーハンや定食も色々と種類があった。胃に優しそうなのと量が少ない点を優先して小鉢に入った温かいうどんを頼んだ。醤油と出汁の効いた優しい味のうどんだった。汁と麺を飲み込むたびに空っぽの胃袋に入れる喜びを感じた。帰省してからはご馳走ばかり食べていたがこのうどんもとても美味しかった。胃が暴れ出すのを心配したが何事も無くうどんは胃の中で落ち着いた。

もう1度寝ると熱は引いていた。ただし快適な眠りでは無かった。夜中何度か目を覚ました。深い眠りは取れない。起きては寝てを何度も繰り返した。

起床後溶けたソフトクリームを飲んでシャワーを借りて5時にネカフェを出た。始発に乗る前にネカフェ横のすき家で朝食を食べた。もう普段の胃に戻っていた。まだ本調子ではないが一応大丈夫だろうと思い浜松からの始発に乗って寿町へと帰ってきた。

体調を崩していたおかげで帰路の記憶がほとんどない。帰りの景色を長めながら旅の思い出を振り返ったりする時間を今回の旅では持てなかった。気付けば浜松のネカフェで横になっていて体調を気遣いながら寿町へと帰ってきた。帰りの電車というのは旅の締め括りになる部分だからそこを端折ったようで何だか旅を上手く終えられなかった気持ちがある。行きに見た景色を今度は行きとは違う気持ちで眺め感慨に浸る。そして長時間電車に乗った疲れが体に蓄積しているくらいに家に帰り着くのが旅の終わりには相応しい。長い道のりを長い時間をかけて行ったのだという実感が得られる。体調不良で仕方が無いとは言え旅の終わりが曖昧になったのは勿体ない気がする。

子供の頃に旅行から帰ると親が必ず言う一言があった。やっぱり家が1番だ。という言葉だ。幼い頃は何を言ってるんだと思っていた。自宅よりも旅先の旅館の方が数倍楽しく生活出来るだろうと思ったからだ。今は親が言っていた意味が僕にも分かる。住み慣れた家が1番良い。