僕はチューブ入りの調味料を愛用している。
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しょうが・にんにく・わさびは我が家の常備調味料である。

チューブ調味料は安いしすぐに使えるし保管も楽だ。良い事尽くめなのだが1つだけ気になる事もある。それはすなわち「自分の手ですりおろした方が美味しいのではないか?」 という疑念である。

こういう声を聞いた事があるはずだ。「おろしたてのしょうがの風味は絶品だ」とか「すりたてのわさびの香りは素晴らしい」とかいうグルメな方々が良く言うアレである。私は他の人とは違うのだと言いたいがために知識人ぶっているだけでは無いのか? 料理人が作ったダシよりも味の素の方が美味しいなんて事も多々あるだろう。自分ですりおろしたしょうがやにんにくよりもチューブのしょうがやにんにくの方が味が優れている可能性も充分にあるはずだ。

グルメな人々は手間がかかればかかるほど料理は美味しくなると思う傾向にあるようだ。国産の高級品例えば肉やワインと外国産の安物を食べ比べてどちらが高級品かを当てるテレビ番組があったが外す人がかなり居た。思い込みを無くし公平に味だけでの判断となると当てるのは難しいのだろう。そうなるとやはりこう思わずにはいられない。「すりおろしの方が美味しいという思い込みにとらわれてはいないか?」と。

今日はしょうが・にんにく・わさびを自分の手ですりおろしてチューブの物と食べ比べる。わざわざすりおろす必要があるのか自分の舌で調べたい。長年気になっていた疑問に今日終止符を打つつもりだ。今回の結果によって今後一生チューブ調味料でやっていくかそれともチューブ調味料を卒業するかが決まる。運命の分かれ道だ。早速しょうがとにんにくとわさびを買いにスーパーに行って来る。

うっ。……。
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わさびってこんなに高いのか? 小さいわさびで980円大きいのは1380円だ。わさびは無理。

というかこの時点でわさびはチューブ1択では無いのか? チューブなら100円少しで買える。


今回はしょうが(中国産)とにんにく(スペイン産)のみで検証する。
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しょうがもにんにくも皮を剥いた。
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すりおろす。
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香りは確かにすりおろした物の方が強い。しかし肝心なのは味である。

左からすりおろしたしょうが・チューブしょうが・すりおろしたにんにく・チューブにんにくである。
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醤油と混ぜてささみを食べる。まずはすりおろしたしょうがからいってみる。
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なるほど。ではチューブ入りのしょうがはどうだろうか?
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それぞれかなりの違いがある。チューブの方は舌触りが滑らかで味が大人しい。言い換えれば上品な味わいだ。すりおろした方には野性味がある。味が余韻として口の中に長く残るのもすりおろしの特徴だ。

ではすりおろしたにんにくはどうだろう?
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食べ慣れているチューブ入りのにんにくもいってみる。
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すりおろしたにんにくはとても辛い。少量にしないと食べられない。うっすらと額に汗がにじんでくるレベルだ。後でお腹を壊すんじゃないかと心配になる。チューブのにんにくはやはり滑らかで上品である。先程のにんにくを食べた後だと味がおとなし過ぎる感じもするがこれくらいの方が安心出来る。

食べ比べた結果どちらの方が僕の好みか発表する。しょうがは“すりおろし”でにんにくは“チューブ”である。しょうがは自分の手ですりおろした方が味がはっきりしていて香りも良かった。にんにくは断然チューブが良い。すりおろしたにんにくは辛過ぎた。

結果1勝1敗なのだが今後僕はチューブの調味料のみを使うだろう。確かにすりおろしたしょうがはチューブのしょうがよりも美味しかったが手間をかけるほどの違いがある訳では無い。チューブで充分だ。というかチューブの調味料はかなり美味しい。例えるならチューブは優等生ですりおろしは不良だ。しょうがは不良の力強さに心を惹かれたが力強い分ささみの良さも消してしまいそうな危うさがあった。チューブの調味料はそっと寄り添ってささみの影に徹していた。すりおろしは主張が強過ぎるのだ。脇役なのに主役になろうとしている点が不満である。

長年の疑問は解けた。今後も僕はチューブ調味料で暮らしていく。